ツーバイ材でログハウスを建てる

あと3年後には65歳になり完全にリタイア状態となる。

時間が出来たら一度はログハウスを建ててみたいと考えていた。

家の暖房は薪ストーブにしてある。 近年は妻の友人が所有する田園周辺の里山の木を切らせて戴いており、 チェーンソーにも大分慣れたが木を切り倒すのと丸太を加工するのとでは大分質が違うし難易度が高そう。

退職後は妻と山ぶどうの蔓細工でも挑戦してみようと、準備を始めていた最中 蔓細工の師匠から本格的に始めるなら、工房を立ち上げた方が良いとのお話を頂いた。

色々悩んだ結果、キットのログハウスを購入しようとしたが、納期が3カ月とのこと。

そんなに待てないので、何か他にいい方法がないかと色々ネットで調べてみたところ、カミさんが見つけた。

あったあった!! 何と「だれでもできるログハウス」というテーマ、ツーバイ材の多重構造ログEasy Log-Builder(特許取得済) でログハウスを造ることができるとのこと。

サイトをじっくり拝見させて頂いた結果、自分にもできそうな気がしてきた。

何せ仕組みが簡単なノッチを組み合わせる事により組み上げていくという、 構造的にも頑丈そうで、自由に設計でき、あまり高度なテクニックを必要としないようで、 以前燻製小屋やウッドデッキも造ったのだからこれならやれるかもしれない!! というわけで2016年10月~2017年9月の約1年間にわたり、奮闘した様子を紹介したいと思います。  

1.ログハウスプラン1 (建てる場所、広さ)
2.ログハウスプラン2 (建築図面)
3.コンクリート基礎
4.土台と床根太
5.ログハウスを建てるのに使用したツールたち
6.ツーバイ材の購入とノッチ造り
7.ログの組み上げ
8.屋根
9.窓、ドアの取り付け
10.床と天井、カーテン、灯具の取り付けで完成

 

1.ログハウスプラン1 (建てる場所、広さ)

ログハウスの使用目的は工房、広さは6畳くらい。 建てる場所は旧駐車場と新駐車場の間、6畳のスペースは確保できそうだ。 我が家にやっと根付いた白樺の木を諦めなければならず、ちょっとかわいそうで残念。 他にいい場所はなく、致し方なし。

ログハウスを建てる場所は西側の新旧駐車場に挟まれた空間

2.ログハウスプラン2 (建築図面)

  建築にあたり必要な事として、正確な図面が必要になるだろう。

CADについてはVISIOを使用して簡単な図を描いたことがあるが どんなものなのか使ってみたことがないので、色々調べてみたところ Jw_cadというフリーのソフトがあるというので、試しに使ってみた。 大変優れているようだ。

“jw_cad 寸法” 、”jw_cad 2等分線”などとキーワード検索すると親切に解説しているサイトがたくさん出てきた。

勉強しながら進めていけそうだ。

小屋図面レイヤー分け

 

3.コンクリート基礎

  基礎は検討の結果、比較的簡単そうなコンクリートブロックを採用することにした。

1.生コンの量が少なくて済む。

2.基礎の型枠を造らないで済み、コンクリートブロックを並べるだけ ( と考えたが結果として高さレベルを合わせるのに非常に難しく、苦労することとなった)

2016年11月4日 植木や周りのデッキの一部を取り外し、地ならしをし、レベルを均一にする。

2016年11月5日 コンクリートブロックを支える型枠を作る。コーナークランプとインパクトドライバーを使用。

型枠はL字型が四隅に、凸型が長辺の真ん中に二つ、長方形が真ん中に3つ。

コンクリートブロックの穴の部分に鉄筋が入るように鉄筋を配置。

生コンは1か所毎に練り(1か所以上は造れない(^-^;)、木枠の高さまで入れる。

生コンは季節が晩秋で気温10度前後。

なのでそんなに早くは固まらない。

水の含有量を少々少なめにして硬めに、コンクリートを流し込んでから1時間程度放置し、ある程度硬くなったら コンクリートブロックを配置する。

ブロックが沈み込まないようにしたいのだが、時間がたつとどうしても 数ミリだが下がってしまう。

タイミングが分からない。経験値の不足だ。この辺がプロとの違い。

どの程度の誤差迄許されるのか分からないので1ミリ単位の狂いにどうしても固執したくなる。

ムムム。コンクリートブロックの高さや傾きが思い通りにならず。時間がどんどん過ぎていく。

1日に2か所のペースだ。

 

 

2016年11月13日やっと4隅ができた。

 

4.土台と床根太

 

2016年11月26日

大分気温が下がってきた。 もうすぐ冬になる。 枯葉も周辺の調整池の方などから吹き飛んでくるようになった。

土台は100mm×100mmの米栂

土台

コンクリートブロックと土台の間には 土台の耐久性を高めるため キャットスペーサー CS-100 W100×L200×H20mm を挿入した。

(完成した後見て感じたのだが、屋根の軒は大き目だし、北側には駐車場の屋根がかぶさるので 雨などで濡れることはなさそう ⇨ 不要?)

問題が発生!!

コンクリートブロックが土台にフィットしない(^^;) コンクリートブロックと土台の間が微妙に隙間ができてしまいがたつきが生じてしまう。

グラインダーなどでコンクリートブロックを削ったりしながら、土台設置にまる2日かかってしまった。

木なら切ったり削ったり、容易だがコンクリートの扱いは難しいなあ。

   

 

やっと基礎に土台がフィットした。

本来の手順としては基礎を完全に作ってから土台を乗せるのだろうが、土台を3点のレベルで合わせるのは難しいと判断し、 残る真ん中の3つの基礎は土台を仮置きした後に作ることにした。 また、ブロックに土台を固定するボルトについても、あらかじめボルトをブロックに固定してしまうと土台に空けるボルトの穴合わせるのが難しそうだと判断し、

1.仮置きした土台を一旦取り外し、土台に穴を空け、ナットの部分が土台から露出しないようナットが隠れる穴を掘る

2.コンクリートブロックの空間にモルタルを入れる

3.土台をセットし、その穴からボルトを挿入、モルタルの固まるのを待つ

4.モルタルが固まったら土台を設置し直しボルトで固定する

ことにしました。

すみません(>_<) この辺のところの写真を撮っていませんでした。

この時点で12月30日。 コンクリートのブロックを斫っていたら、斫る方向を間違え、角を壊してしまいました。

はがれた部分をコンクリート用の接着剤でくっつけて補修。↓ 根太に相当する部分は2×4

ツーバイエイトの幅はツバイフォーの倍ではないので5mと2.3mほどのツーバイエイトを丸ノコで縦割り半分にしています。  

 

土台に接触する縦引きしたツーバイ材は高さが93mmあるので、あらかじめビスがすっぽり入る10mm径で 深さ40mm程度の穴を空けてから120mmのビスを打って固定しています。ビスで固定するのはこの部分だけです。

この小屋の工法にはイージーログビルダーという名前がついていますが セトリング「乾燥によるログ材の収縮と丸太そのものの重さにより、ログ壁が下がってくる現象」があるので土台と接する部分のみ ビスで留めますが、その上に組み上げるツーバーエイトは一切ビスを使用しません(ここが魅力の一つ)

後々紹介するドアや窓を取り付ける際には、このセトリングを考慮した構造にしなければなりません。 (ここがやってみたかった面白いところです)

土台に接触しない1段目の防腐処理なしのツーバイエイトが組まれたところです。 接触する部分は防腐処理したものを使用しました。  

キャットスペーサーはこんな風です。

この時点で大晦日になってしまいました。お正月期間中もかんばります!!

こちらの地方(宮城県仙台市及び周辺の町村など)では12月30日か31日は大掃除の後、お年取りといって、 家族が一堂に会し、1年を振り返ったり、神棚に来年の幸せを祈願したり、ご馳走を頂いたりします。

なお、次回はログハウス建設に使ったツールや治具の紹介をしたいと思います。 乞うご期待!!  

 

5.ログハウスを建てるのに使用したツールたち

 

ここではイージーログビルダーでハウスを建てるのに使用したツールたちを紹介します。

ハタガネ:イージーログビルダーの主材料はツーバイ材、生渇きの状態で提供されることがあり、

乾燥すると捩じれたり曲がったりするので, このハタガネで押さえつけたりして、ログを組み立てていく。

 

腰袋:これがないと作業効率は著しく低下する、工具やビスなどを入れて作業する。

のこぎり:ゼットソー このゼットソーは縦横斜め切の多機能。長短2種類持っているが、一つでも構わない。

  ルーター:HITACHI工機 M8 天井などの廻り縁や作業テーブルの面取りやはぎ合わせに使用。

電動ドリル:BlackDeckerの安価なやつだが回転数が可変、ハンマードリルとしても使える。(アマチュには充分) さすがにコードの付け根の部分が割けてきたがビニルテープで補修した。コードも冬は硬くなり、扱いにくい。

充電式電動ドライバー:HiKOKI(旧日立工機) 14.4V コードレスインパクトドライバー  FWH14DGL 100mm以上のコースレッドを打ち込むこともあるので、14.4Vのものを購入。

オービタルサンダー:リョービMS-35。

ジグソー:HiKOKI 電子ジグソー CJ160V これは結構高価だったが数多くのノッチを作るのには、パワー、精度とも満足のいくものだった。

水平器:垂直、水平などを計測する必須工具。

①電動丸ノコ:20年以上前に購入したもので、鉄製のガイドフレーム。垂直や傾きの精度調整がいまいち。 結局、最近マキタのM585(アルミガイドフレーム)の物を購入することになった。 パワーと角度調整の精度が抜群で大変驚いた。大分苦労したので我慢しないで早く買えばよかった。

②隅壺:墨ではなくチョークの粉を使用する。 ③Fクランプ:これはどうしても暴れるツーバイ材を組むためには必須のもので4つはあった方が良い。

①丸ノコガイド:MKK 丸鋸定規フリーカット 270mm FC-270 ② 丸ノコガイド:シンワ測定 丸ノコガイド定規 エルアングル フィット 30cm

①指金 大 ②スコヤ ③指金 小 ④止型定規 ⑤シンワ測定 自由スコヤ ⑥型取りゲージ

①筋毛引 ②丸ノコ平行定規

①タッカー ②ノミ ③ハンマー ④釘抜 ⑤やすり(木工用) ⑥ゲージ:タジマ Σストップ25 多少重いが引き出すとそこで止まり、長くのばしても折れない。裏表に目盛りが印刷。 今までいろんなものを使用したが、これがチャンピョン。多少価格が高くても作業効率は高い。

①バール ②Fクランプ

他に中くらいの木槌(ゴム製) ノッチを数百個造らないといけないのでツーバイエイトの長さを決めた後に使用する専用の治具をコンパネでこさえた。

6.ツーバイ材の購入とノッチ造り

ノッチについて始める前に、私が当初イージーログビルダーの出口さんから頂いた大事なアドバイスを記載させて頂きます。  

6-1.ログ材の購入について

「ホームセンターから買い集めた場合、メーカーによってわずかながらサイズにばらつきが出る場合があるので 出来れば輸入元からバンドル単位で買うのがいい」。とのことでした。 私の居住する地域は様々なホームセンターがありますが、様々な長さのツーバイエイトを何十本も購入し、 自分で運搬するより、ホームセンターより安価で配達もしてくれる材木屋さんを見つけたので、そちらを選択しました。

6-2.ノッチについて

①ノッチの幅 ツーバイエイトの幅は184mmなので半分では92mmになりますが、93mmにすること。 これが浅すぎると隙間の原因となります。

②ノッチの深さ ツーバイ材の厚さは38mmで、3枚重ねると114mmですが、遊びを入れて115mmにします。 はじめ114mmにして組もうとしましたが、きつすぎてダメでした。

③その他 ツーバー材は構造材に使用するためなのか余り均質ではありません。はばらつき(ねじれ、汚れ、片や角の破損など)があるので 特にねじれのある材料は真ん中に使うと、楔の役割をして強固になります。肌の良い材は内側や外側に使います。 私の場合工房が目的なので、印刷されている面をわざと内側にしてインテリアとして活用しています(この辺はお好みで)。 使用する工具は a.写真奥から筋毛引き、ノミ、ノコギリ、やすりとコンパネなどで作った丸ノコ用の定規治具

 毛引きを93mmにセット。

治具を使って丸ノコで両端に切り込みと中に2本の切り込みを入れる。

毛引きを93mmにして線を引く

残った切り込みはのこぎりで毛引き線まで延長。

ノミで切り欠き。

切り欠いたエッジはツーバイ材を組むときにエッジが欠けたりしないようやすりで面取りした。 (これは不要?。というのはやすりをかけた結果、毛羽立ってしまい、水分を吸収しやすくなるか、 手間だがノミなどで面取りをした方が良かったかも)

早速ノッチにツーバイ材3枚を試し組。

うまく入った。

では2段目を組み上げてみよう。

土台に接する部材には念のため防腐処理したツーバイエイトを使用。

手前右の方は出入り口の開口部。何か雰囲気が出てきたぞ。 根太は作業し易いようにこの時点で作り、コンパネを仮に敷いておく。

次の投稿はログを組み立てていく様子を紹介する予定です。

7.ログの組み上げ

  コツコツとノッチを刻み始めたのが2017年の年末、この頃は未だフルタイムで働いていたので、 作業できるのは休みの日だけ(この季節は4時を過ぎると暗くなり始めるので帰宅してからの作業ができない) 年末年始は作業に集中しようと、正月返上。ひたすらノッチを刻んでは、組み上げていく。

 

床に接する部分は全て防腐処理済のものを使用した。外側のツーバイエイトは丸ノコと丸ノコ平行定規縦に半分に切断。 ※半分にすると丸ノコの刃の分1mmが減るが、片側0.5mmで全体的には誤差で吸収できるだろうということで。。。(^^;)

2月初旬かなり寒い。完全防備で作業。

2段目の中を挿入したところです。

足場のためコンパネを敷いて、ビニールシートで養生しておく。

雰囲気が出てきた。

一つ一つツーバー材のねじれや反り具合、木肌の傷み具合を吟味し、外側に使用するのか、真ん中に使用するのか、内側に使用するのかを決める。 塗装する部分は 外壁:全面 内壁:外面とノッチより外側の外に露出する部分 内壁:ノッチより外側の外に露出する部分。 塗料はノンロット205N

出入り口(手前)や窓(奥、右)の部分にさしかかかる。

 

西側

 

作業終了時は雪や雨対策でビニルシートをかけ、雨樋とロープで水を逃がすように。

ふー、もう少しです。この時点で2月4日。

これから切妻の部分になります。3月20日

図面に従い切妻の部分を西側、東側の2セット作っておきます。

切妻は垂木で挟み込み。 垂木を組み込むノッチを刻む。

垂木を組んだところ。

切妻を組み込んだところ。

棟木に相当する部分。

 

垂木はツーバイ用金具でしっかり固定する。

この時点で4月20日、もうすぐゴールデンウィークだ。

8.屋根

  2017年4月23日 もうすぐ5月の連休になる。 やっと屋根の部分になる。屋根さえできれば雨が降っても大丈夫。 作業の前後には養生が必要だったがビニールシートのつけ外し作業とはおさらばだ。 初めに断熱材を入れる。スタイロフォーム50mm厚を採用。

断熱材を入れたら屋根のパネルを装着し、

防湿シートを貼る。

屋根材にはOnduline PPHR クラシックシートを採用。近くのホームセンターで入手しました。

 

次は窓やドア、セトリングの工事について紹介します。

9.窓、ドアの取り付け

 

2017年月連休いよいよ建具の設置に入る。

窓とドアは株式会社ベスト・ログ研究所から入手(バルト三国の中の国?が原産地らしい)

取り付け方法はいわゆるログハウス特有のセトリング (乾燥によるログ材の収縮と丸太そのものの重さにより、ログ壁が下がってくる現象) に対応したものとすること。

実際には壁をツーバイ材でコの字に囲む。 壁と窓枠の間には5cm程度の隙間を設けた。 窓枠内側の状態

この部分がセトリングスペース。 ホームセンターで㈱3技研の「1(ワン)プッシュ枠止め金具」なるものを見つけた。

本来木の端切れで楔などを作って、窓枠の縦横の調整を行うのですが、これがあると金具を隙間にポンと挿入し、ネジで間隔を調整できるのでとても楽ちん。

セトリングスペースにはグラスウール等を埋め、隙間を塞ぐ。

 

窓枠を外から見たところ。 木が乾燥により収縮し下がっても、窓やドアが開かなくなったりしないように隙間を作る。

この枠同士のみ固定してある。壁とはビスなどで固定していない。

内側の窓枠取り付け中は窓が外に落っこちないよう、木っ端で抑えておく。

窓枠の塗装ができたら壁と枠の間に防水テープを貼る。

窓の水平垂直はきっちりと。

垂直が採れているか?

①窓を固定する板 ②板を固定するねじを隠すキャップ ③ビスを隠すためあらかじめ穴を空けておき、そこにビスを打っている。

外側から内側にかけて幅広の防水テープを貼ってある

ネジ穴をダボで塞ぐ

窓枠の出来上がり。数年後どの程度隙間が縮んでいるんのか調べてみます。 楽しみです。

ドアの部分も窓と同じようにコの字のように囲み、セトリングスペースにはグラスウール。

ドアの完成

電気の配線は露出。壁コンセントの中で天井の電灯に分岐させてある。

外側はこんな感じ

さて、いよいよ次はログハウスの最終にしたいと思います。

 

10.床と天井、カーテン、灯具の取り付けで完成

 

2017年7月9日

天井とフローリングは同じものを採用

床は作業で汚れてしまうので一番最後に持ってきた。

断熱材(50mmのスタイロフォーム)の上面は床面に合わせた。

フローリングの下には下地合板(コンパネ)を敷いてあります。写真の撮り忘れです。

灯具はLEDのもの、窓とドアにはカフェカーテン

雨樋やウッドデッキを付け終わったのは8月

 

ステップを付け終わったのは9月でした。 これで約1年にわたるイージーログビルダーの建設は終了。

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